早坂吝 『虹の歯ブラシ 上木らいち発散』 (講談社ノベルス)

虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社ノベルス)

虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社ノベルス)

上木らいちは高級マンションの七〇七号室に住む高校生だ。その洗面所には複数の歯ブラシが常備されている。虹の色が一色ずつ揃ったそれらは、らいち自身と、平日の決められた曜日に訪れる男たち用だ。らいちはそこで固定客相手の援助交際をしている。

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タイトル当てミステリこと『○○○○○○○○殺人事件』(感想)に登場した「史上最もHな探偵」,上木らいちを主人公にしたデビュー二作目.と言っても続編というわけではなく,単体で完結している.むしろこちらを読んでから「〜殺人事件」を読んだほうが理解が進むかもしれない.七色のタイトルを冠した各章では,おっぱいコピー殺人事件や,青一色のセックス教団やら隣りに暮らすストーカーやら,まとまりのあまりない事件が描かれる.キャラクターありきのミステリなら普通かな……,と思って読んでいくと,最終章の最後の3ページで色んなものが結実するという.人を喰った面白いことやるなあ,というかより正確に言うとふざけんなwww という気持ちである.良い新本格でした.