鈴木大輔 『文句の付けようがないラブコメ』 (ダッシュエックス文庫)

「しばしのお別れです。どうぞよき輪廻を」


その言葉を最後に世界は変容した。

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千年に渡って世界を救い続けているという少女,神鳴沢セカイ.酒と葉巻を好むセカイへの生け贄として捧げられることになった高校生,桐島ユウキ.生贄になる代わりになんでも言うことを聞いてやろうと言われたユウキは開口一番,セカイに結婚を求める.さあ,愛の喜劇(ブコメ)を始めよう.
神の如き少女と生け贄にされた少年が演じる愛の喜劇(ブコメ).大枠に目新しさはなく,お約束を守ってストーリーを作っているのはタイトル通りではあるのだけど,それでいて飽きずに読ませてくれるのはうまい.運命に翻弄されるふたりの姿は喜劇よりも悲劇色がずっと強いのが皮肉っぽくもあり,しかし直球でラブである.文句の付けようがないかどうかはともかく,タイトルから想像するものよりもずっと良いものでありました.