早矢塚かつや 『これからの正義の話をしよっ☆』 (一迅社文庫)

これからの正義の話をしよっ☆ (一迅社文庫)

これからの正義の話をしよっ☆ (一迅社文庫)

「そろそろ、理解してもらってもいいかもね。ボクがやろうとしていることの半分は正義を見いだせない現状の社会に対する宣戦布告みたいなモノであり、それで傷つく人や反発する人が出てくるのは当たり前。それでようやく、正義の話が始められるんだから」
そうだった。正義の話をする土壌もまだできていない。
正義正義と言ってきたけれど、正義の話はこれからなのだった。

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「正義同好会」とは,主催の叶祈里を中心に学園の新しい正義を追求する部活動である.同好会に入った守川剣司は,祈里とともに日々正義同好会活動に勤しんでいた.そんな折,時は間もなくバレンタイン.生徒会長の鷲座つばさがバレンタイン中止令を強行しようとする.
サンデル先生のブームから生まれた学園ラブコメ.もうあのブームから5年近くが経ったのかと思うと気が遠くなるのだけど,まあそれはさておき,濃密でとても良いラブコメだと思う.読んでいないのでどこまでネタ元に沿っているのかはわからないんだけど,「正義」の意味づけが明快で良い.小学校中学校高校と,社会が広がっていくに従って変化していく「正義」,というのはラブコメ向きよな.無駄に切なくなってしまう.作中時間の短さもうまく濃密さに貢献していたのだと思う.