水沢夢 『俺、ツインテールになります。9』 (ガガガ文庫)

「喜怒哀楽がツインテールと共に在って何が悪い!!」
「わかってねえなあ! 共に在るんじゃなく、支配されっちまうんだよ!!」
唯乃の蒼いマフラーに手を絡め取られ、俺は強引に引き寄せられる。
「喜びじゃなくツインテール! 怒りじゃなくツインテール! 哀しみじゃなくツインテール!」
「うわあああああ!!」
激情と共にマフラーを猛然と旋回させ、苛烈な重力の奔流に苛まれる。
「そしてえええ!!」
回転の頂点でガラクタのように投げ捨てられ、俺は為す術もなく宙を舞った。
「――――楽しいんじゃなく、ツインテールだ……!」
落下して来た俺に、強烈な横蹴りが見舞われた。
「そんなのはもう、心でも何でもねえ! ツインテールそのものになるってことだ!」

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最強形態エターナルチェインを手に入れたツインテイルズだったが,メンバーの身体にはそれぞれ代償が降りかかっていた.そこに現れたのは,百合属性(ガールズラブ)のティラノギルディ.ツインテイルズ同士のキスが見たいというティラノギルディの属性を利用することを計画するトゥアールたちだったが.
生粋の百合属性によってテイルレッドの正体がばれそうになる,という仕掛けにちょっと感心していたら,特撮の,というかヒーローもののお約束のような熱いストーリーが展開されてゆくシリーズ第九巻.人間と怪人(エレメリアン)の共存とか,大いなる力(ツインテール)に取り込まれて闇堕ちするヒーローとか,最初の方のかったるさが,いつの間にやら熱い展開になるから驚いた.お約束を踏まえつつ,なんだかんだと水準以上に楽しませてくれる,紛うことなき現代のヒーローものだと思う.しょーもないなーと思うところも数々あるけれど,変身ヒーローというかヒロインというか,そういうのが嫌いでなければ追いかけてみてもいい作品だと思うのですよ.