赤城大空 『下ネタという概念が存在しない退屈な世界9』 (ガガガ文庫)

さあ。
もう止まらない。
性に寛容な社会を、真のユートピアを、いまここからつくり上げようではないか。
復讐の名の下に。

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SOX》の活動の結果により,政府に対して膨れ上がる不信感と,第三次ベビーブームの到来.下ネタテロリストたちの活動は社会を変える力を持ちつつあったが,その一方で傷つくもの,犠牲になったものが浮き彫りになってゆく.
作中で約1年が経過し,そろそろ終局,あるいは新たなユートピアの誕生が近いのかな,と思わせるシリーズ九巻.ここまで読んでて思ったけど,物語的には間延びしちゃってるのが最大の弱点だよなあ.なんだかんだと楽しく読んでいるけれど,もし創元SF文庫上下巻から出ていたらここまでで上巻の三分の二くらいなのではないか.その代わりというか,切れまくるテキストと下ネタの密度は恐ろしいことになっている.求める面白さの方向によって評価が割れそうな気もするけど,いちおうちゃんとディストピアを描いてはいるのですよ.アニメ化ももう間もなくだし,とりあえず一巻だけでも読んでみるといいかもしれませんぜ.