ちゅーばちばちこ 『金属バットの女』 (HJ文庫)

金属バットの女 (HJ文庫)

金属バットの女 (HJ文庫)

「アイしてるぜ」
そんな台詞が確かにあった。千年前か千年後ぐらいに。もしくは別の日に。

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5月のクソ暑い日.田舎の無人駅で,俺は世界一可愛い女の娘,椎名有希に出会う.その翌日,目を覚ますと俺の家族は金属バットを持った椎名有希に全員殺されていた.椎名有希は,世界を滅亡させる十三体の化物を倒せる唯一のヒーローだという.椎名有希に気に入られた俺,芦原幽玄は世界一可愛い彼女と一緒に暮らすことになる.
世界を滅亡させる十三の化物,『試験管』を殺すことのできる唯一の存在との出会いと同棲生活.あるいはこの世界の主人公をめぐる可能性の物語.第9回HJ文庫大賞特別賞受賞作.ゼロ年代とかセカイ系とか最終兵器彼女とか,15年くらい前から続くものの絞りかすを固めて煮凝りにしたような虚無い小説であった.世代や触れてきたものによるだろうけど,不思議な懐かしささえある.言葉の選び方を見るに,わかってやってるんだろうな.それだけに面白がったら負けな気もしたんだけど,わりと嫌いでもないのよな.手に取った皆さんがどういう反応をするのか気になる.うっかり読んでみることをおすすめいたします.