- 作者: 岡本タクヤ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/10/20
- メディア: 文庫
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まったく異なる世界の文化を引っ提げてやってきた異世界人。
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インカ帝国とスペイン人は、不幸な出会いだったといえるだろう。少なくともインカの人々にとっては。世界と世界が、文化と文化がぶつかったとき、そこには必ず摩擦が起きる。
でも、俺たちの教科書にだって、いくつかの幸福な出会いもまた記されている。
では、俺たちは?
とりあえず、王女に菓子を与えることくらいはできるけれども。
浩介たちの緑ヶ丘高校二年一組は,修学旅行に向かう途中,何やら中世ヨーロッパ風の異世界に飛ばされてしまう.王女プリシラに
飛んだ先の異世界は平和でした,という異世界転生もの(転生ではないが).こんな緊張感のない転生ものもそうそうないのではないかな.ふたつの世界が出会ったら何が起こるのか,という意味では,昨日の「そんな世界は壊してしまえ」(感想)と共通したテーマを扱っているのだけど,雰囲気も緊張感も違いすぎる.誰も死なないし,何もこじれない.でもまあ作者が作者だけあってわかってやってるのよな.さすがに平和すぎたか,前半は少し引き伸ばし気味でネタがくどく見えるのはちょっともったいなかったかな.「中世ヨーロッパ風の世界にジャガイモやトマトがあるのはおかしいでしょうが!」とキレるハイファンタジーマニアと,それをあっさりと躱す王女の理屈が痛快かつタイムリーで良かった.