水沢夢 『俺、ツインテールになります。10』 (ガガガ文庫)

きっと、一人が寂しかったんだと思う。
雲の上から、ガスとマグマの大地を見下ろす毎日が、孤独だったんだ。
だから――二つを求めた。二つあることが、嬉しかった。
そんな風にして自分の髪の毛を二つに結んだ女神(おんなのこ)がいて。
やがて土の上を人が歩くようになった時……やっぱり、誰かが思ったんだよ。
二つあれば、嬉しいな……って。
ツインテールの始まりはね、天空(ソラ)だったの。

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死の二菱(ダー・イノ・ランヴァス)隊長ティラノギルディにツインテール属性を奪われてしまった総二.ツインテール属性との繋がりが完全に切れてしまったら,二度とテイルレッドに変身できないどころか,全世界にその正体が露見されてしまうという.戦う力を失い意気消沈した総二たちに,死の二菱(ダー・イノ・ランヴァス)が総力戦を仕掛けてくる.
変身する力を失った男が仲間や町の人々の助けを受けて復活する.ヒーローもののお約束を,一冊かけてこれでもかと熱く熱く描き切った.いやあもうほんとに熱いしカッコいい.虚勢を張るばかりだった敵首領・ティラノギルディも成長してゆくのがまたいいのだ.部下からも馬鹿にされていたチキンな首領がついに吹っ切れ,主人公と馬鹿同士の殴り合うクライマックスのカッコよさは,まさに正統派ヒーローもののそれだった.
力の入ったイラストの使い方も非常に効果的.『ケモノガリ』二巻と同じ見せ方を使っており,これがバッチリはまっていた.イラスト見開きはたまに見るけど,この見せ方は珍しいよね.素晴らしいものでした.