川岸殴魚 『勇者と勇者と勇者と勇者』 (ガガガ文庫)

「時代はモンスター飯。いま一番キャッチーだから。これは乗っかっとかないと」
「時代は……そうなの?」
ナディーネはぽかんとしているが、アーニャはことさら訳知り顔を作ってうなずく。
「そう。モンスターを素材にして異世界っぽい料理すれば、アンテナ張ってるつもりの関係者は絶対食いつくから。ちょろい」

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勇者フレイズによって魔王が倒され,世に平和がもたらされた.それから二十五年.勇者の意志を継ぐ者たちが大量に現れ,大陸には勇者が余りまくっていた.勇者専門学校を卒業した勇者ルディ・シュミットも,仕事にありつけず他の勇者5人とシェアハウスをして金のない日々を送っていた.
大勇者“あまり”時代の勇者の日常を描くコメディ.メインキャラクターとして登場する勇者は6人なのに,タイトルが4人なのは『六花の勇者』かと思ったのだけど,どうやらまったく関係ない様子.第一巻なので多少手探りをしている印象はあるけど,基本的には「邪神大沼」や『人生』を異世界風にした感じ.身も蓋もない.体育会系でアホの娘がヒロインの座を食いがちなのは『人生』と共通している.勝手に暴走するキャラが活躍しやすい作風ではあるかな.シリーズ化に期待しております.