ツカサ 『熾界龍皇と極東の七柱特区 III』 (ガガガ文庫)

熾界龍皇と極東の七柱特区 3 (ガガガ文庫)

熾界龍皇と極東の七柱特区 3 (ガガガ文庫)

「平等というのは、すべての者に等しい立場と生活を与えることではない。能力も容姿も皆異なり、勤勉な者も怠惰な者もいる。そうした者たちを同じように扱うのは、それこそ不平等なことだと思うがのう?」
「た、確かにそういう側面もあるかもしれませんが……けど――いえ、では《源仙》様の考える平等とはどういうことなんですか?」
気圧されつつも、咲良は気丈に問い返す。
「どのような者にも“機会”が与えられることでありんす」
《源仙》はまるで幼子へ言い聞かせるように、ゆっくりとした口調で答えた。

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神祖《源仙》(コンロン)の統治する旧京都,第四特区に招待された湊たち一行.《断界の聖域》(シャンバラ)と呼ばれるそこは,人類と幻類の共存が実現された桃源郷だった.しかし,街の外縁部には新たな格差が生まれていた.
崩壊戦争後に分割統治されるようになった日本を舞台にした異郷譚.日本という土地に,七つの異世界が並行して存在しているという世界設定は,異世界ものの逆転と言えるのかな.今回の舞台となる第四特区は仙人たちのいる中華風異世界.《源仙》(コンロン)の思想に基づき,君臨すれど統治せず,を体現した第四特区の描写は面白いのだけど,いかんせん尺が短くて食い足りない.膨らむ前に終わってしまう印象があるのよな.もったいない.