森橋ビンゴ 『この恋と、その未来。 ―二年目 春夏―』 (ファミ通文庫)

ふらふらとよろめき、俺は廊下の壁にもたれた。思わず、小さな笑いが込み上げてきてしまう。もう、笑うしかなかった。
まさかたった一日かそこらで、ここまで何もかも失うなんて、思ってもいなかった。

Amazon CAPTCHA

二年に進級した四郎と未来は,寮の別室に移り,クラスも別々になった.三好沙耶と付き合っていることを公にした四郎は,日々の交際の中で,なんとかして未来のことを忘れようとしていた.一方の未来は,付き合い始めた山城要に自分の秘密を打ち明ける決意をしたことを四郎に告げる.
綱渡りのようなバランスで保たれていた日常があっという間に崩壊してゆく,高校二年の春から夏を描いた第四巻.いやなんというか,読んでいて身悶えるというか,胃のあたりが痛くなった.恋心さえ消えてしまえば,三巻の終わりから続く静かな日常が少しずつ戻ってきたかもしれないのに.本当に恋心というものは厄介極まりないですね.ほんと,どういう結末になるんだろう.