- 作者: 長月渋一,Garuku
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/12/10
- メディア: 文庫
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「さっき捕虜って言ったよな。外宇宙連合憲章で捕虜への拷問は禁止ってあんだぞ! 憲章違反じゃねぇか! 人権委員会に訴えるぞ、このブリキ女!」
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「有機体が勝手に決めた憲章なんか知ったこっちゃないわ。そもそもあたしたち海賊だし」
「海賊なら仁義ってもんがあんだろうが!」
「仁義? はぁ、なにそれ? グレイロイドにはそういう曖昧な解釈よくわかんないんだけど」
「曖昧はてめぇだろうが。人かロボットかはっきりしろ!」
伝説と呼ばれた寡黙な獣人ヴォーガ・スターランナーと,地球生まれのジン・カツヒラは外宇宙を股にかける賞金稼ぎコンビ.ある理由から大金を必要としていたジンは,誘拐された惑星クワントールの王女,リィズ・ソングマールの救出という,3億ダラスの賞金がかかった依頼を請け負う.パートナーであり師でもあるヴォーガの反対を無視して単独で向かったジンを待っていたのは,両親の仇だった.
スペースオペラにして師弟もの.派手さとどっかしらの古臭さを兼ね備えた,ある意味で非常にまっとうな和製スペースオペラではないかと思う.造物主に反旗を翻して,外宇宙の一種族としての自由を手に入れた代償に母星を失い,ディアスポラとなった一千万の女性型アンドロイド.恒星系の破壊と再生を同時に実現する恒星系再構築兵器.囚われのお姫様と賞金稼ぎのローマの休日.という,ガジェットとシチュエーションをしっかり活かした話作りをしており,好感が持てる.何より,主人公の成長を描きながら,最初から最後までクソガキ(「半人前」と言われるといちいちキレる)であり続けるのがすごく良かった.王道で定番だけど安直ではない,というか.ヤングアダルト向けとして普通におすすめできるのではないかな.わくわくしながら読みました.