英霊としての誇りなど最早ない。
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ただ、憎かったのだ。
だれ一人子供を救わぬ世界が、救えるはずなのに救うことを選択しなかったルーラーが、そして誰より救えぬ自分がただただ憎くて、憎くて、憎くて――己を灼き尽くした。
だからもう、誰が憎いのかも分からない。
哀しみは消えた、喜びは消えた、怒りも消えた。あるのはただ、使命感だけ。
――――――――ああ。
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全てを悟った。最初から、オレと父とではあまりに何もかもが食い違っていた。
父は王になって人々を守ろうとしたのではない。
人々を守りたいから、王になったのだ。
だからその凄絶な人生を駆け抜けて、振り返ることもなく――。
憧れていた背中は、雄々しく立派なものではなく。悲しくなるほどに細く小さかった。
聖女と聖人は人を救いたいと誰よりも願う.しかし,ふたりの道はどうにもならないほど食い違っていた.
“赤”と“黒”,ふたつの陣営による「聖杯大戦」の完結.誰より「人を救う」ことを欲しているのに,まったく別の道を選ぶことになる二人のルーラー.そして,“赤”のセイバーこと,モードレッドの父への葛藤にはちょっと涙腺が刺激された.一方でサーヴァント同士のバトルはかなり大味な印象が強い.次から次へと飛び出すビックリドッキリ宝具の迫力はさすがなんだけど,インフレが過ぎて途中でお腹いっぱいになる.良い最終巻だったと思うのだけど,やっぱり変則的な全五巻ではなく,じっくり書いてほしかったなあ.