- 作者: 江波光則,中原
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/09/18
- メディア: 文庫
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まだ立てる。それは
Amazon CAPTCHA囁き 。
まだやれる。それは詠唱 。
まだ殺せる。それは祈り 。
そして叫ぶ。叫び祈り囁き続ける。
私はそうやって失った物をまた取り戻す。
何と引き替えにしてでも、もう一度だけ取り戻す。
ある日,仲間のひとりが路地裏で首を切られた死体となって発見され,別の仲間が行方不明になった.同じ頃,とある噂が街に流れ始める.真っ白な髪と赤いサングラスをつけたバニーガールが,首を切って殺したという.
一癖も二癖もある6人のメンバーの前に現れる,殺人バニーガール.現代日本(たぶん)を舞台に描かれたウィザードリィ小説の新作.クソチンピラとマフィアの抗争劇を,非常に「正しい」ウィザードリィ小説に仕立てあげている.ウィザードリィから拝借した小ネタもあちこちに……というか,細かく刻んでいくと小ネタなんだけど,小ネタで終わらせずに,人物を掘り下げたり,群像劇を成立させるための骨組みになっているのな.ウィザードリィを知っていれば知っているだけ感動できるポイントかもしれない.まったく誰も幸せにならないのに,読みおわると不思議と爽快感がある.うまく言えないんだけど,最終盤になるまで,殺人バニーガールの人格を描かなかったのがカタルシスの一因になっていた気がする(そういう意味ではイラストの存在は余計だった).正しく“血と硝煙の匂いが吹き荒れ”るウィザードリィ小説だと思いました.