森田季節 『不戦無敵の影殺師(ヴァージン・ナイフ)6』 (ガガガ文庫)

もしかすると、この俺の生き方は被害者をたくさん生み出していたのだろうか。
強さを追い求めることがかっこいいと俺はメッセージを送った。
だけど、どうやってその力を手にするかについては口にしなかった。

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相棒の小手毬を救うため,『天上』としての生き方を選んだ朱雀.芸能界に生きることができなくなった朱雀は,大きな人生の転換点を迎えることになる.
物語の大きな折り返しとなる七巻.ずっと望んでいた最強を通り過ぎてしまったあとの,退屈で空虚な日々.そして仲間の結婚と出産と,30代が近くなった自分の将来について.「終わったあと」でも時代は変化してゆく.ライトノベルだとあまり踏み込まない領域に踏み込んでおり,意欲的な題材を描いてきたシリーズの中でも特に意欲的になっている.ただ,この巻は展開がいきなり雑になった気はした.展開がやけに早め,そしてラブコメを阻止するおじゃま虫天児奈と,今回の黒幕とその最後はいくらなんでもご都合主義ではないかなあ.まあ,この題材でライトノベルらしい話を作ることがそれだけ難しかった,ということのかもしれない.