るーすぼーい 『白蝶記 2 ―どうやって獄を破り、どうすれば君が笑うのか―』 (ダッシュエックス文庫)

白蝶記2 (ダッシュエックス文庫)

白蝶記2 (ダッシュエックス文庫)

とりわけ教祖とその周辺の大幹部たちが関心を持ったのは、人間の頭蓋の中にメスを入れることだった。脳のどの部分がどういった働きを担っているのか。人間の運動機能や、考える力を司る分野はどこにあるのか。十九世紀なかごろから二十世紀の初頭に注目されていた心のありか、“魂の局在”について、教団もまたのめりこんでいったのである。初代教祖は自ら率先して、ロボトミーとして知られる白質切断術を信徒に行っていた。

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教団の施設から脱走した旭は,同じように教団から逃亡を図る少女朱理,協力者の金城と同行することにする.「パパ」に会いに行くという朱理とともに川幌市に向かう三人.しかし,教団幹部の時任の追手が三人の後ろに確実に迫りつつあった.
教団の児童養護施設から逃亡した三人の物語.今回は,旭と朱理のふたりの逃亡劇に,ほとんどのページが割かれている.逃亡のなかで,少しずつ変わってゆく旭と朱理の距離が微笑ましい.細やかな描写と,その裏で途切れることのない緊張感……と言いたいところなんだけど,章ごとに舞台がかっちりと切り替わっており,どこかゲーム的というか,連続的でない印象を受けた.このあたりは,ゲーム出身の作者らしいところなのかな? 緊張感が異様に強いことは間違いないんだけどね.謎や伏線は多く敷かれており,「予測不可能な激変」が用意されていることも間違いない.続きを期待しております.