- 作者: バリントン J.ベイリー,冬川亘
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1983/04
- メディア: 文庫
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「カエアンの服って、ほんとにそんなにすごいのかい?」グラウンがわめいた。「だって、それじゃまるで魔法じゃねえか!」かれはケタケタ嬉しそうに笑った。「魔法のスーツだ!」
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「科学だ」マストが怒りを抑えて訂正した。「カエアン人しか知らない特別な科学だ。催眠術みたいなもんだ」
カエアン人にとって,衣裳とは一つの哲学であり人生観,唯一絶対の人の道である.
“服は人なり”を体現するカエアン文明の成り立ちと秘密.『キルラキル』のネタ元のひとつにもなったというワイドスクリーン・バロック.蝿の惑星だの,宇宙を生身で飛ぶヤクーサ・ボンズだの,一生を金属スーツのなかで送るソヴィヤ人だの.ポンポンと飛び出すアイデアは,大風呂敷を広げるというより,風呂敷の上におもちゃを並べたかのようなガチャガチャ感がある.そして最終的にえいやで畳み掛ける力技感.
カエアン人のたどり着いた境地は今でも古びていないと思うし,伏線は綺麗に敷かれていてエンターテイメントとして楽しい.出版されたのが1983年とはいえ,テキストや固有名詞は思った以上に古めかしく感じた.まあ読んでいくうちに気にならなくはなった.今から読むなら,つい最近出た新訳のほうがいいかな.楽しゅうございました.
- 作者: バリントン・J・ベイリー,大森望
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2016/03/24
- メディア: 文庫
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