ハマカズシ 『勇者に期待した僕がバカでした』 (ガガガ文庫)

勇者に期待した僕がバカでした (ガガガ文庫)

勇者に期待した僕がバカでした (ガガガ文庫)

魔王は全員の不安そうな顔を見渡し、口を開く。
「この世界の悪は僕たちがまとめて引き受けよう。大丈夫、責任は僕が持つから」

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30年ぶりに現れた勇者を前に,魔界は大わらわ.しかし,その勇者は30歳職歴なしのニートであった.ダメな勇者をなんとか盛り立てようと,魔王ゴルディアスと四天王,そして魔王秘書のエルブランコとその部下の新人ウニベルたちは奮闘するも,やることなすこと,奇跡的にうまくいかない.しかしこれも仕事,文句は言っていられない.
第10回小学館ライトノベル大賞審査員特別賞受賞作.ファンタジー世界における勇者や魔王の共存関係の話.最近では珍しくなさそうな話ではあるのだけど,魔王の上司と空気の読めない部下に挟まれる中間管理職が主人公というのは新しい,のかもしれない.想定読者の年齢層の上昇を感じる.
登場人物は空気の読めない部下,プレッシャーをかけてくる上司,パワハラをかけてくる取引先,そしてダメ人間すぎる勇者と揃っており,読んでる最中のストレスは高い.それぞれが成長と信頼を見せてゆく中盤からの,終盤の畳みかけるような展開は悪くなかったのだけど,ちょっと性急だったかな.悲劇のダメ人間だと思われていた勇者が実は……というくだりはもっと拡げられた気がする.