さがら総(Speakeasy) 『そんな世界は壊してしまえ 2 ―クオリディア・コード―』 (MF文庫J)

永遠にあきらめない女。すべてを受け入れる女。意志に際限のない女。
このいびつな世界のなかでひとり。
壊すまえから、壊れているのだ。この女は。
あのときに覚えた感情――純然たる恐怖に再び包まれて、朱雀はどうしようもない吐き気を催した。

Amazon CAPTCHA

すべての人類を愛する朱雀壱弥は,防衛都市東京で「要らない存在」とされた者たちを率いて,人類の敵であるアンノウンと戦うことになる.誰も切り捨てない,希望に満ちた未来を信じていた壱弥はしかし,今まで直面したことのない狂気と絶望に向き合うことになる.
愛と狂気が紙一重にある「愛と勇気のディストピア」を描く.人類愛と,人類の持つ狂気もまた紙一重にあるのだ,という.一巻(感想)でサイコパス小説だという感想を述べたけども,実はもっと重度のサイコパスがいたというシリーズ二巻.流石である.一応7月から放映のアニメの前日譚・東京編だったはずだけど,これをわかるように反映させるのは無理なんではないか.というか,語り手の壱弥が「愛」を本当に理解したのか妖しい気がするのだけど,そこでますますこじれるのとか期待してもいいのかな.
ところで,作者が時事ネタを好むのは知ってるけど,第三者の厳しい目で云々というのが出てくるのを読んで流石だと思った.発言からこの本が出るまで一ヶ月くらいじゃないかね.