王城夕紀 『青の数学』 (新潮文庫nex)

青の数学 (新潮文庫nex)

青の数学 (新潮文庫nex)

大雪の中、彼女の上にだけ数字が降っていた。

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新しい考えかたを自分で発見すること。既に見つかっていることを自分で見つけること。
神様からの直通電話がかかってくる瞬間を、味わうこと。
その瞬間にこそ、数学の美しさがある。
アインシュタインは空間こそ湾曲しているなんて途方もないことを、数学から導いた。
クォークという極小の存在は、数学の群論から予測された。
数学は神様の作った言語だから。

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数学をやり続けるという子供の頃の約束を守り続けていた栢山は,大雪の降る数学オリンピックの予選の日に,ひとりの少女に出会う.少女は,数学オリンピックを制した天才,(かなどめ)香凛だった.彼女は栢山に問いかける.「数学って、何?」.
ひたすら数学に情熱を燃やす少年少女たちの青春小説.数学とは何なのか.なぜ数学をやるのか.数学をやった先に何があるのか.先人たちは数学に何を見たのか.数学での決闘や,合宿を通じて,少年少女それぞれのスタンスや,内に持っている情熱が,ふつふつと湧き上がってくる.テキストは不思議なくらいにそっけないのに,つめ込まれた熱量はものすごい.熱にあてられて,読んでる最中はわくわくが止まらなかった.短いあとがきにある「最大限面白がりながら書きました」という姿勢に敬意を表したい.紛れも無い傑作だと思います.秋に出るという続きを首を長くしてお待ちしております.