- 作者: 岩城裕明
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2016/04/23
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (2件) を見る
父が母の首を切り落としていた。
女瓶
父が振り上げた鉈は濃いねずみ色だった。
うつ伏せになった母は顎を引き、狙いやすいようにうなじを露わにしていた。
すまない。
いいんですよ。
交わされた言葉はそれだけだった。
タン。
振りおろされた鉈がうなじに埋まる。
タン。タン。タン。
帰省したら村中の住人がおかしなことになっていた「怪人村」.女の子の死体を手に入れた僕は彼女を瓶人にすることにした「女瓶」はどこか静かで悲しい.「ぼくズ」はよくわからないけどなにやらミニマル.気づいたら地獄で働くことになっていた,という「
アッパー,ダウナーを取り揃えた五篇を収録した書き下ろし短篇集.五篇が五篇とも味があって,良い短篇集になっている.個人的には「キグルミ」が傑作だと思う.演劇を書いた小説には傑作が多い気がしているのだけど,これも例外ではなかった.