川岸殴魚 『勇者と勇者と勇者と勇者4』 (ガガガ文庫)

「いいか、ビキニアーマーのパーティーメンバーが欲しければな……、おばさんを狙え!」
ビキニアーマーのおばさん!」
ルディの脳裏によぎるビキニアーマーの中年女性。
違う! ルディの思い描くパーティーとは大きく隔たりがある。
「なにせ酒場でメンバーを見つけていた世代はかなり年を食ってるからな。すでにおっさん、おばさんに……おいっ! なにをがっかりしている! ビキニアーマーは若い女だけのもんじゃない。熟女のビキニアーマーもいいものだぞ! 贅肉がぶるんとはみ出ている感じ、それが逆にいいんだよ」

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家賃を滞納してしまい,大家に命を狙われる羽目になってしまったルディ.勇者としての方向性に迷うルディは,町中で出会った自称“古き良き時代の勇者”ロットに弟子入りを志願する.
「勇者大迷走時代」にこそ必要とされる古き良き勇者は,無断で人の家に入るし,押し入れやタンスを漁るし,勝手に宝箱も開ける.あるあるネタで始まり,あるあるネタで終わる.いろいろ散りばめたRPGの小ネタが,単なるあるあるネタで終わらず,ちゃんとラストに向けた伏線になっているのがえらい.毎度の軽快で愉快なテキストで書かれる一連の流れは本当にうまいし楽しいし.「勇者も魔王もそれほど大したものではない」という思わせぶりなドラゴンの言葉には意味があるのかないのか.楽しみにしております.