冲方丁 『テスタメントシュピーゲル 3 上』 (スニーカー文庫)

ああ、間違いない、あいつが戦っている――果敢きわまりない突撃精神に満ちた不退転かつ怖いもの知らずの少女――すなわち陽炎がよく知る涼月が、陽炎が知らないどこかで、まったくもっていつも通りの奮闘を繰り広げているのだ。
それがわかった――泣きそうになった。
待っていろ夕霧――心の中でもう一人の仲間へ呼びかけた/怯えの一切が綺麗に吹き払われるのを感じながら――私達の小隊長が道を切り開くぞ

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西暦2016年,ミリオポリス.憲兵大隊(MPB)に所属する三人の特甲児童は戦っていた.情報汚染への対抗ユニットを運搬する涼月,それぞれに戦いに直面する陽炎,夕霧.混乱を極める事態は,徐々に収束してゆく.
とうとう迎えたクライマックスの前半.バラバラに戦っていた三人が,ふたたび集結しようという,このカタルシス,この無敵感.きっとこれで彼女たちは大丈夫.いろんなものがこみ上げてくる.陽炎でなくても泣くというか,読んでる最中にいちいち涙腺が刺激されて仕方なかった.続きを早く読みたいという気持ちと,次で終わってしまうのがほんとに惜しいという気持ちがいっぺんに来る.完結が来るのをお待ちしております.