渡航(Speakeasy) 『どうでもいい 世界なんて2 ―クオリディア・コード―』 (ガガガ文庫)

結局のところ、人の心は言葉一つで変わりはしない。
だから、言葉になんて意味はないのだ。

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〈アンノウン〉との形骸化した戦争を続ける世界.防衛都市・千葉は,実質的な支配階級である戦闘科にすべての権力を握られていた.この世界の構造を変える方法,それはアイドル活動であった.
クオリディア・コード』前日譚千葉編完結.硬直した世界をぶっ壊したいと願うエネルギーは,理論や理屈ではなく感情から来るのだ,だからアイドルで盛り上げて支持者を釣るのだ,という.ブリグジットやトランプといった現在進行形の現象を,後づけだけど無理なく流れに従ってストーリーに取り込むフットワークの軽さはさすがだと思う.そのストーリーの中に,そもそも〈世界〉ってどこからどこまでを指すのよ,みたいなクエスチョンも含まれてるのかな.千種兄妹のどこか不思議というか共依存を感じさせる関係とか,好きなひとは本当に好きなんだろうなと思う.懐かしいセカイ系であり,社会への風刺でもある.良かったと思います.