つかいまこと 『世界の涯ての夏』 (ハヤカワ文庫JA)

世界の涯ての夏 (ハヤカワ文庫 JA ツ 4-1)

世界の涯ての夏 (ハヤカワ文庫 JA ツ 4-1)

頭の片隅にずっと何かがある。それは悩みでもあるけれど、祈りにも似ている。だから人は、自分の頭の中にある小さな機械を、祈りの素などと呼ぶのだ。
人類は祈っている。それも当たり前だなとアサクラは思う。世界の終わりを食い止めるのに、祈り以上に適当なものはなさそうだった。

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球のような外見をした異次元存在〈涯て〉によって,世界は徐々に浸食されていた.ある夏の日,疎開先の離島で,少年は転入生の少女に出会った.
第3回ハヤカワSFコンテスト佳作受賞作.緩やかに終わろうとしている世界の,真夏のボーイ・ミーツ・ガール.それはふたつの宇宙の出会いでもあり,ふたつの時間の出会いでもある.グレッグ・イーガン的なアイデアを,しっとりと語って物語を作り上げている.テーマはかなり好きなんだけど,情緒的な面が強い語り口が個人的にはあまりしっくり来なかった.もう少しハードな方が良かったというか.逆に,3Dデザイナーの苦悩には共感できるところが多かったかな(そういうひと多そうだ).