柴田勝家 『ゴーストケース 心霊科学捜査官』 (講談社タイガ)

ゴーストケース 心霊科学捜査官 (講談社タイガ)

ゴーストケース 心霊科学捜査官 (講談社タイガ)

「お前は霊に肩入れしすぎる。あれは一種の自然現象、災害にすぎない。僕には、お前のように擬人化した霊と接する趣味はない」

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062940566/baniken-22/

霊子科学の発展によって,霊の存在が実証された現在.地下アイドル,奏歌のCDを聴いたファンによる連続自殺事件が発生する.CDの呪いの科学的解明に,陰陽師にして心霊科学捜査官の御陵と,警視庁捜査零課の刑事,音名井のコンビが挑む.

陰陽師と刑事,ふたりのはみ出し者によるバディもの.「科捜研の女」みたいな話だとご本人が言っていました.作者の姿を強く投影しているであろう主役二人によってバディもののお約束を踏襲しつつ,地下アイドル(のファン)の世界と,CDの呪いがもたらす連続自殺事件を描いてゆく.ミステリとしては,人間の意識を司る「霊子」と,人間が死の瞬間に発する「怨素」の存在が鍵となる.雰囲気たっぷりに書いてるけど,事の真相はかなりバカだしトンデモない.ファンあってこそのアイドル,……ってそういう意味なんだろうか.SFファンより新本格ファン向けかもしれない.