オキシタケヒコ 『おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱』 (講談社タイガ)

――暴走する想像力が、存在しない脅威を捏造する。
――そのスイッチを入れるのは、環境がもたらす不安。

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山中にあるその屋敷では,半身不随の少女が座敷牢にとらわれていた.その少女,ツナとぼくが出会ってから10年.ぼくは彼女に毎週会うため,怖い話の収集に励んでいた.
とある田舎を舞台にした実話怪談.……かと思って読みはじめたら,あれよあれよと彼岸に連れて行かれてしまった感.ホラーでありボーイ・ミーツ・ガールでありSFであり異世界ものでもある,と,読み終わってみれば言えるけど,これには完全に意表を突かれた.そういう話になるのか! という.怖い話が(胃に潰瘍ができるほど)苦手なのに,彼女のために集め続ける主人公,ミミズクがおかしくてやけにかわいらしい.良い小説だと思います.