枯野瑛 『終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか? #2』 (スニーカー文庫)

今のティアットの言葉に、嘘はなかった。
どこまでも素直に正直に、彼女は「大嫌い」と口にした。
とても親し気で。
とても好意的で。
とても楽しそうな。そんな、心の底からの「大嫌い」だった。
(僕も――)
思わず、返しそうになる。
(僕も、そんな君のことが大嫌いだよ)

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近づきつつある〈獣〉により,滅びが約束された都市ライエル.フェオドールたちは,町外れの森で,新たに発生した妖精の子供二人を保護した.リンゴ,マシュマロと名付けられた奔放で小さな二人は護翼軍に束の間の穏やかな日々をもたらす.
滅びの近い世界を描く,新シリーズの第二巻.静かに衰退していく街,僅かに見え,そして消えた光.過去の因果がゆっくりと組み合わさっていく,オーソドックスな悲劇を静かに描いている.大きなストーリーを見ればとてもシンプルなんだけど,細部に渡って丁寧な描写がとても良い.ひねくれたところの多いキャラクターたちも本当に良い奴ばかりなんだよな.あまりにも直球なラストも,この丁寧さがあるからこそ,重さを伴ったものになるのだと思う.良いシリーズだと思います.