円居挽 『日曜は憧れの国』 (創元推理文庫)

「例えば皆さんに同じ筋立て、同じ登場人物で作品を書いて貰ったとしても、できあがりは全く違うものになります。日々の生活や価値観、日頃何に興味を持っているか……そういったものが個々人で異なるわけですから当然のことですね。台詞一つ、シーン一つ描くにも書き手の個性が出ます。
それが小説の面白さでもあり……恐ろしさでもあります」

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内気な中学二年生,千鶴は,親の言いつけで四谷のカルチャーセンターを受講することになる.そこで千鶴は,同じ中学二年生の少女,桃,真紀,公子の三人と友だちになる.
家庭の事情だったり,将来の進路だったり,それぞれに悩みを抱えた四人が日常の謎に挑む.カルチャーセンターを舞台に,中学二年生の少女たちが日常の謎を描く連作短編.良い意味でそこそこ軽く,すいすい読めるのだけど,創作論を語る「幾度もリグレット」にはぐっと来た.静かで熱いとはこういうことを言うのかと思った.あとがきも含めて,作者の他の作品にはない,不思議な熱がある本になっていると思うのですよ.