紙城境介 『遊者戦記 #君とリアルを取り戻すRPG』 (ダッシュエックス文庫)

遊者戦記 #君とリアルを取り戻すRPG (ダッシュエックス文庫)

遊者戦記 #君とリアルを取り戻すRPG (ダッシュエックス文庫)

「……張って、あったのか…………! 最初の最初に……伏線が、もう……!!」

遊者戦記 #君とリアルを取り戻すRPG (ダッシュエックス文庫) | 紙城 境介, 40原 |本 | 通販 | Amazon

ぼっちゲーマーのリオは,後輩のサクラから世界初のVRMMORPG,PfC(ポストファンタジー・ストラグル)に誘われる.リアルとバーチャル,ARを組み合わせたまったく新しいゲームにのめり込むリオとサクラはたちまちトッププレイヤーに躍り出る.だが,ファンタジーと現実,ふたつの世界の関係にはある真実が隠されていた.
正義感や責任感を持った勇者ではなく,誰よりも「面白いこと」に貪欲な遊者こそが世界を救う.『ウィッチハント・カーテンコール 超歴史的殺人事件』(感想)に次ぐ作者の2作目.相変わらず,京都の作家らしい意地の悪さ(偏見)が見え隠れしている.舞台も京都だし.いろいろな意味で「ウィッチハント・カーテンコール」の変奏に見えるけど,ポジティブなメッセージが全開なのは読んでいて気持ちがいい.
現実,ゲーム,ARを組み合わせたゲーム小説であり,1500年前の世界を描いたファンタジー小説であるものを,ミステリの手法を使って話を進めるところも,「ウィッチハント・カーテンコール」に共通しているのかな.細かい仕掛けにもそれぞれ意味があり,すべてが解決するカタルシスがとても良かったと思う.それを台詞で言っちゃうのが新本格ミステリ的なところでもある,のかな? 届くべきところに届いてないように思えるし,もうちょっと読まれるといいなと思いました.