カミツキレイニー 『かりゆしブルー・ブルー 空と神様の八月』 (スニーカー文庫)

心が言うことを聞かない。やはり恋は罪悪だった。
君を嫌いになれない僕は、せめて君のために僕を嫌った。

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いなり寿司以外を食べることができなくなるという呪いをもらってしまった高校生,春秋.ユタに呪いを祓ってもらうため,沖縄の白結木島を訪れた彼は,花人(ハナンチュ)の少女,空と出会う.
神々が住むといわれる島を舞台にした「沖縄青春ファンタジー」.夏の沖縄の空の下,人間の隣人である神様を巻き込んだ怪異譚.肩の力の抜けた明るいドタバタ活劇かと思いきや,後半に入ると雰囲気が一変する.うまい転換だと思う.沖縄の食べ物をきちんと美味しそうに描いているのに,前後に必ず嘔吐するシーンを挟んでいるのもなかなか意地が悪くて良い.同じ作者,同じ舞台の『黒豚姫の神隠し』(感想)とひそかにつながるところもあるので,あわせて読んでみるといいかもしれない.良いボーイ・ミーツ・ガールでした.