乙野四方字 『正解するマド』 (ハヤカワ文庫JA)

要するに自分は、『正解するカド』のノベライズが書けなくて悩むあまり、頭がおかしくなってしまったのだろう。妙に冷静にその結論にたどり着く。

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テレビアニメ『正解するカド』のノベライズを依頼された作家・乙野四方字は,何を書けばいいのか悩むあまり,精神を病みつつあった.ついに彼はアニメに登場するキャラクター,ヤハクィザシュニナの幻覚を見はじめる.記憶をなくしたというヤハクィザシュニナに,乙野は小説の相談を持ちかける.
テレビアニメ『正解するカド』のスピンアウト小説.物語とは世界であり,世界は物語でできている.最近のSFがずっと考えているテーマを,野崎まどに最大のリスペクトを捧げつつ,小説でなければできない表現でやってのけた.現実と虚構を何重にもミルフィーユにした,極上のメタフィクションだと思う.アニメを見ていなくて申し訳ないというか,各所の感想を読むに先に見ておいたほうが良かったような気もするけどまあいいや(良くはない).傑作ではないかと思います.