小川一水 『天冥の標IX ヒトであるヒトとないヒトと PART2』 (ハヤカワ文庫JA)

「あの子は……祈るようになってしまった。冥王斑の私たちが救われるように……冥王斑であればあるほど救われるようにって。子供のころから祈ることですべてを力に変えてきた。祈ることで、どんな苦難も受けとめられるようになった。だから――」

それだけは口にしたくなかったが、もう。

「あの子は、もう引き返せない」

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シリーズ第9巻完結篇.シリーズの完結に向けて粛々と,ある意味淡々と進んでいくのだけど,それだけで面白い.というか,数百年・数千年・数万年以上に渡るそれぞれの因縁が,ひとつの形をつくろうとしているんだから面白いに決まっている.ページ数全体の一割近くを占めるようになった,巻末の年表と人物・用語集を見てふふ……と思ったことだ.来年の完結を楽しみにしております.