宮澤伊織 『僕の魔剣が、うるさい件について』 (スニーカー文庫)

僕の魔剣が、うるさい件について 「僕の魔剣」シリーズ (角川スニーカー文庫)

僕の魔剣が、うるさい件について 「僕の魔剣」シリーズ (角川スニーカー文庫)

イメージとともに、意識に昇った言葉が、自然に吏玖の口から零れ出た。

――《夜来たる》(Nightfall)

“それが私の銘――? ま、悪くないわね”

早瀬吏玖が蔵の中で見つけた祖父の遺品の日本刀.それは,夜空をそのまま切り取ったような刀身と,己の意思を持つ魔剣だった.《夜来たる》(Nightfall)と名付けられた魔剣と吏玖は,魔剣遣いたちの戦いに否応なしに巻き込まれることになる.

魔剣《夜来たる》(Nightfall),対魔槍《虎よ、虎よ》(Tiger-Tiger).意思を持つ魔剣とその遣い手たちの異能伝奇バトル,開幕.ツンデレの魔剣というオブラートを用意しつつ,しっかりしたエンターテイメントであり,容赦のない伝奇バトルであり.魔剣の名前からわかるようにSFでもある.展開はスピーディなんだけど,起承転結と理屈付けがとてもしっかりしているので一気に読めてしまう.この4年後に創元SF短編賞を獲るのも納得できる面白さ.というかむしろ遅いくらいに感じた.楽しゅうございました.