東亮太 『異世界妖怪サモナー ~ぜんぶ妖怪のせい~2』 (スニーカー文庫)

異世界妖怪サモナー ~ぜんぶ妖怪のせい~ (2) (角川スニーカー文庫)

異世界妖怪サモナー ~ぜんぶ妖怪のせい~ (2) (角川スニーカー文庫)

「こんにちは、皆さま。クダンでございます」

「うおっ、何かやたらと都合よく現れやがった!」

「はい、やたらと都合よく産まれてまいりました」

召喚した四国の妖怪,手洗鬼が,うっかり魔王を踏み潰してしまう.こうして世界に平和が訪れた.……のだが,なぜかコハクが知らない間に指名手配されてしまう.どうも,コハク以外には召喚できないはずの「妖怪」を名乗る何かが悪さを行っているらしい.

魔王なき後の世界を描く「異世界×妖怪無双」完結編.安直なテーマなようでいて,実際に読んでみるとかなり緻密に伏線を敷いているのがわかるはず.あれも伏線,これも伏線だったのか! と驚くと思う.

本来存在しない世界に現れた「妖怪」と,その影響で生まれてしまった異世界の鬼子である「ヨウカイ」.とても似ているようで相容れないふたつの存在の有り様を,重くならないノリですらすらと綴っている.いつものことですが,何を書かせても上手いひとだなあと改めて思ったのでした.