西塔鼎 『エレメンタル・カウンセラー ―ひよっこ星守りと精霊科医―』 (電撃文庫)

エレメンタル・カウンセラー -ひよっこ星守りと精霊科医- (電撃文庫)

エレメンタル・カウンセラー -ひよっこ星守りと精霊科医- (電撃文庫)

「精霊っていうのは、簡単に言ってしまえば『人格を持った自然』です」

自然の管理者である精霊との対話と生業とする星守りの少女,ナニカは,白衣をまとう奇妙な男,オトギと出会う.「医者」と名乗るオトギは,精霊を蝕む奇病,「精霊病」を「こころの病気」と呼んで治すことができると言い放つ.ひよっこ星守りのナニカは,元の世界へ戻る手立てを探すオトギとともに旅に出ることになる.

「エレメンタルへのメンタルケア」をテーマに,サイコドクターが異世界で旅をしながら大暴れ.いわゆる「八百万の神」の概念が「精霊」に置き換わり,より身近になった異世界のファンタジー.いかにもな異世界ファンタジーのあれこれに,既存の医学用語や薬品名を当てはめているのだけど,単に置き換えただけでかなり安直に感じる.それ以上に気になるのが,話の構造上,初対面の精霊がほぼ例外なく精神を病んでいること.読んでいて気が滅入って仕方なかった.メンタルをテーマにした(ついでにこの世界の精霊は体の病気にはかからないという設定にした)時点で必然だった気がしてならないのだけど,もう少しやりようがなかったものか.