岡本タクヤ 『異世界修学旅行7』 (ガガガ文庫)

異世界修学旅行7 (ガガガ文庫)

異世界修学旅行7 (ガガガ文庫)

「楽しかった」

呟くように、言った。

プリシラが大きく息を吸う音が聞こえた。

「めっちゃめちゃ、楽しかったぞよ!」

声を張り上げて、言った。

背中越しに聞いたその声は、心なしか震えていたように思う。

修学旅行の最中,異世界に飛ばされた2年1組.王女プリシラとともに散らばったクラスメイトを集める「異世界修学旅行」も,残すところ一名となった.同時に,元の世界に帰ることの出来る百年に一度の「蝕」が間近に迫っていた.別れのときが目の前に近づきつつあった.

一行の前に現れた勇者(クラスメイト)と再臨した魔王.2年1組はついに全員集合を果たし,旅の終わりと別れがやってくる.シリーズ最終巻は期待以上の真っ当で幸せな大団円でした.基本的にはテンション高めでおバカなお話だったけど,引き締めるところはちゃんと引き締めてくれるし,漫画チックなキャラクターたちにもそれぞれ見せ場があって愛着が湧く.デビュー作から読んでるけども,改めて作者の頭の良さと懐の深さを感じた次第.良いシリーズでした,お疲れ様でした.