円居挽 『語り屋カタリの推理講戯』 (講談社タイガ)

語り屋カタリの推理講戯 (講談社タイガ)

語り屋カタリの推理講戯 (講談社タイガ)

基本的に殺人は犯人にとって不利だ。いくら周到な殺人計画を練り、鉄壁のアリバイを作ったところで、そんなものは決行時の状況次第で吹き飛ぶ。犯人も人間である以上、コントロールできないことの方が圧倒的に多い。糸くず一本、塵一つまで把握するなんてことは不可能なのだから。

故に現場のありとあらゆるものを時計と思え。日の下で影が時刻を指し示すように、あるいは流れ落ちた砂が時の経過を示すように、どんなものも見方を少し変えれば時計となる。

莫大な賞金を求め,少女ノゾムは六つの謎を解くデスゲームに参加した.同じく参加者の青年カタリは,初心者のノゾムに事件を推理するためのレクチャーを始める.

生き残るためには,六つの謎を解く必要がある.一章ごとにフーダニット,ハウダニット,ワイダニット,ウェアダニット,ウェンダニット,ワットダニットすべてを網羅する.まさに推理講戯と呼ぶに相応しい新本格ミステリ.アホみたいに大規模な舞台装置がいちいち面白く,ミステリのためのミステリという感じがする.「ダンガンロンパ」のようなものが好きなら,軽い気持ちで読んでみても楽しいのではないでしょうか.