柴田勝家 『デッドマンズショウ 心霊科学捜査官』 (講談社タイガ)

デッドマンズショウ 心霊科学捜査官 (講談社タイガ)

デッドマンズショウ 心霊科学捜査官 (講談社タイガ)

「この事件に怨霊が関わっているのは確かだと思う。けれども、人を刺し、また遺体をバラバラにするなんてことは、物理的な接触がない幽霊では絶対にできない」

映画監督,小平千手が手がけるモキュメンタリー「生きている人達」シリーズの出演者が相次いでバラバラ死体で発見された.霊捜研の陰陽師御陵と刑事音無井は捜査に乗り出すが,謎は深まるばかり.さらには新たな犠牲者が発見される.

七日目に死ぬという呪いを掛けられた体で撮られたホラー映画.そのクランクアップ直後に出演者が死ぬという.「ゴーストケース」(感想)に続く心霊捜査版「科捜研の女」第二巻.霊子や怨霊,祟りの存在が捜査に利用されるとはいえ,心霊科学を絶対視せず,さりとて科学では見えないものもある.このへんの科学捜査と心霊科学捜査の境界が危ういバランスを取っている.ご都合主義に陥らず,最後の最後まで緊張感をはらんでいた.とても良いと思います.