飛田雲之 『《このラブコメがすごい!!》堂々の三位!』 (ガガガ文庫)

《このラブコメがすごい!!》堂々の三位! (ガガガ文庫)

《このラブコメがすごい!!》堂々の三位! (ガガガ文庫)

物語はフィクションを利用して理想を描写するものだから、現実にはない「劇的な何か」を求めるところまでは理解できる。しかし、そういう人たちに限って「ご都合主義」を否定する。俺はいつもそこに、矛盾のようなものを感じていた。

実際に我が身を振り返ってみると、俺が現実で初めて異性を好きになったとき、その理由はまったくわからなかった。

姫宮新はライトノベル情報のまとめサイトを運営している高校生.クラスで目立たないようにしていた新だったが,ある日クラスメートの京月陽文に一目惚れしてしまう.その京月はペンネームでネット小説を発表しており,ネット民たちの悪ふざけによる炎上で,ネット小説賞《このラブコメがすごい!!》第一回の三位を受賞していた.折しも,第二回の《このラブコメがすごい!!》開催が近づきつつあるころのことだった.

ラノベ情報まとめサイト管理人とネット小説家の恋を描く,第12回小学館ライトノベル大賞ガガガ賞受賞作.創りたいものと売れるものとの乖離だったり,「面白さ」とはなんぞや,といったテーマは今では珍しいものではないと思う.理屈っぽさが徹底されていればいいのだけど少し中途半端,なおかつ説明台詞が非常に多い.好みもあるだろうけど,個人的には読みにくさが強かったかなあ.