値言(CHIKOTO)/Atom Harako編訳 『異世界にドラゴンを添えて』

俺と白馬がフリートの傍にいくと、列の対応をしていた店員が俺に羊皮紙でできたメニュー表を渡し、先に欲しい味と数量を決めておくようにと言った……ていうか此のシステムって台北東区に軒を連ねてるスイーツの店のやり方じゃねーか、なんで異世界に来てまで台湾のやり方で列作ってんだ俺は!

世界的なコックを父に持つ高校生の慕飛は,たまたま居合わせたニートといっしょにトラックに轢かれて異世界に転生してしまう.転生するにあたって異能力を授かることのなかった慕飛は,ケチくさいハーフエルフの村で,「天選之子」として祭り上げられるニートにあごで使われることになってしまう.そこに一匹のドラゴンが現れ,村人たちの生活は大きく変わってしまう.

第三回台湾角川華文軽小説大賞を受賞した『美味的異世界料理,需要加點龍01』の邦訳.海外小説とは思えないほど,異世界転生もののお約束というか,フォーマットを踏襲している.そういう理由で新鮮味がかなり薄く,どうしても細かいところに目が向く.龍のネーミングの「雉龍」,「松露龍」,「銭龍」だとか,怪我や死人がライトノベルらしからぬガチのやつだとか,放送禁止用語が自然に出てくるだとか.違いのわかる読者なら良いのかもしれないけど,自分的にはあえてこれを読む(すすめる)理由がないかなあ.