枯野瑛 『終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか? #06』 (スニーカー文庫)

「けれど、力を合わせた人間は……心を合わせた人間は、本当に強いんです……あなたたち神々にも負けないくらいに、強いはずなんです……」

少女は。

少女であったものは。

人類を外敵から守る勇者(ブレイブ)であろうとした、たった一人の人間は。

人間であったことをすら失い、ひとつの〈獣〉へと変じようとしていたそれは。

怒りでも悲しみでも苛立ちでも憎しみでもない、空虚な感情を込めて、嘆く。

「なのに……どうして私たちは……こんなにも、バラバラなんでしょうね……」

遺跡兵装(ダグウエポン)モウルネン.それは,ひとの絆を結び仲間と力を合わせる聖剣(カリヨン)だと言われている.30年前と同じ惨劇が,再びコリナディルーチェに襲いかかろうとしていた.

かつて結ぶことのできなかった「絆」と,霧のように形を持たない〈獣〉,〈輝き綴る十四番目の獣〉(ヴィンクラ)が世界を壊そうとしていた.〈十七種の獣〉の誕生と人間種(エミネムトワイト)の滅亡と,すべての始まりを描く.「すかすか」第二部のクライマックスとなる第六巻.区切りの巻ということもあるんだろうけど,情報密度がなかなかのもの.誰も泣かず,誰も死なないことを望んだ,不器用なフェオドールがどんどん愛おしくなってくる.本当にいいシリーズだなあと思うわけです.