- 作者: 野崎まど
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/07/20
- メディア: Kindle版
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「そして我々は今、次の一歩を踏み出すことができるところに来ています。それは自殺を《黙認》する時代を経て辿り着く、自殺を《公に認める》時代です」
齋は誰に邪魔されることもなく、自らの主張を謳いあげる。
「自殺法とは、人がこれまでの間違った認識を覆して社会を変革する“市民革命”なのです」
「自殺法」の提唱と64人の同時自殺ののち,新域の長,齋開化は姿を消した.第一回の新域域議会議員選挙が近づくなか,齋の行方を追うべく,東京地検特捜部検事,正崎善を筆頭にした法務省・検察庁・警視庁をまたいだ機密捜査班が組織される.そんな正崎たちをあざ笑うかのように,齋は自殺法の賛否を問う公開討論の開催をネット経由で呼びかける.
自殺は本当に悪なのか.「善」と「悪」について議論し,考え続けること.とても主語が大きくて,ある意味穏当なテーマに,とんでもない仕掛けと毒を流し込んだかのような.けっこうな力技を使っている気もするのだけど,それ故に想像がつかないということもある.「読む劇薬」の煽りがまったく大げさではない.すごいすごい.この二巻の時点でとんでもない傑作.しかも次でどうなってしまうのかぜんぜん想像がつかない.本当に楽しいし幸せなことだと思うのです.
kanadai.hatenablog.jp