渡来ななみ 『さくらが咲いたら逢いましょう』 (メディアワークス文庫)

さくらが咲いたら逢いましょう (メディアワークス文庫)

さくらが咲いたら逢いましょう (メディアワークス文庫)

桜の樹の下には屍体が埋まっている……という、有名な小説の書き出しがあるらしいけれど。

あたしとあなたの場合、それはあながち現実離れしていないわね。

桜の樹の下には、あたしたちが埋まっている。

桜の名所として知られる田舎町,千里町.ここには,時を超えてひとの縁を結ぶと言われる「トキノサクラ」の伝説があった.ある春の季節.五歳の僕は,半透明の不思議な桜の樹の下で歌う女性と出会う.

戦前から21世紀末まで.伝説の桜の樹が取り持つ,時間を超越した「縁」の物語.不思議な話なようでいて,肝心なところを上手にはぐらかしているという印象.ループものの一種と言えるのかもしれないけど,どうも説明が難しいな.帯やあらすじは「泣き」を強調しているのだけど,個人的には言いようのない不安が残る一冊でした.