瀬尾つかさ 『横浜ダンジョン 大魔術師の記憶』 (スニーカー文庫)

横浜ダンジョン 大魔術師の記憶 (角川スニーカー文庫)

横浜ダンジョン 大魔術師の記憶 (角川スニーカー文庫)

すでに終電が近い時間だ。閑散とした通りを歩き、ドーム状の建物の前にたどり着く。

かつて、ここには横浜スタジアムという野球場があったという。

二十年前、その空間が、ほかの時空と重なり合った。

20年前.原理不明の時空のねじれによって,世界にいくつものダンジョンが出現した.ダンジョンから現れる怪物たちは,ダンジョンの出現と同じ時期に生まれ星繰り人(ルーンハンドラー)と名付けられる力を持つ子供たちでなければ傷をつけることもかなわない.そんな世界の横浜で,高校生の黒鉄響は,自分の星繰り人(ルーンハンドラー)の力と,前世の記憶を隠したまま生活を送っていた.

横浜に出現した横浜大墳墓の探索と,その周辺を描く前世もの.最近は異世界転生ものが強いので前世ものは珍しい,かもしれない.転生者である主人公が強く,文字通り無敵.意図してそうしているのは分かるのだけど,緊張感を維持するのが難しいし,ちと退屈だった.ダンジョン周辺の人間同士のいざこざとか,やるべきことをすべてやってて過不足はないんだけども,この一巻の時点では新鮮味もほぼなかった.