喜多川信 『空飛ぶ卵の右舷砲』 (ガガガ文庫)

空飛ぶ卵の右舷砲 (ガガガ文庫)

空飛ぶ卵の右舷砲 (ガガガ文庫)

小型ヘリOH-6D改――〈静かなる女王号〉を操り、ヤブサメは樹竜の後ろを取った。

「行きますよ、船長」

遠い未来.人造の豊穣神,ユグドラシルによって繁栄を享受していた人類は,「大崩壊」によって陸を追われ,海上都市で暮らすようになっていた.小型ヘリ〈静かなる女王号〉の船長モズと副操縦士のヤブサメは,東京第一空団の依頼を受けて旧新宿の探索作戦に参加することになる.

陸に住めなくなり海上で生活するようになっても,人類はヘリを駆ってたくましく生きていた.12回小学館ライトノベル大賞審査員特別賞受賞作は,右舷に40ミリ砲を備えた卵型ヘリの活躍を描くポストアポカリプス.海上都市にヘリコプターや陸の植物怪獣など,オーソドックスにまとまっていると思う.いろいろなガジェットが出るわりには,そのガジェットへのフェティッシュさがもうひとつな気がした.悪くはないんだけども,個人的には引っかかるところが少なかったかなあ.