朝田雅康 『二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない』 (スーパーダッシュ文庫)

委員長? 何をふざけたことをいっているのか。こいつの脳みそは茹で上がっている! 性悪で、クソで、好き勝手やりやがって。君は将来、どっかのヤク中に刺されてのたれ死ぬのがオチなんだよ。

私立伯東高校二年四組は,教員から「腐ったリンゴ」と呼ばれる問題児ばかり35人を集めたクラス.新学期がはじまった4月,委員長はクラス全員で交換日記をつけることを提案する.

一日ごとに書き手がバラバラに変わる交換日記から,クラス35人が関わる進行形の複数の事件が浮かび上がる.第9回スーパーダッシュ小説新人賞佳作受賞作.書き手も読み手も名前を意図的に伏せられた交換日記形式という,面白い試みをしている群像劇.主人公が35人いる名前当てパズルであり,一冊まるごと読者への挑戦状でもある.

話そのものはよく言えばわちゃわちゃ,悪く言うと散漫なのだけど,二年四組の35人がそれぞれに持つ得体の知れなさは十分に出ていて楽しかった.他にない挑戦的なことをやっているだけに,作者がこの一冊しか書いていないようなのが残念.