- 作者: 瘤久保慎司,赤岸K,mocha
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/08/10
- メディア: 文庫
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「……ひとつは、よく見ること、もう一つは……」
「……信じること。」
「できるか?」
「うん。よく、見るよ。それに、いつも信じてる……きみを。きみと、僕を」
忌浜県を離れ,大宗教都市島根に向かうビスコとミロ.その道行きで助けた老人に,ビスコは胃を奪われる.老人の正体は,かつて島根の中心たる《出雲六塔》から追放された不死僧正ケルシンハ.胃を奪われたビスコに残された時間はわずかに五日.
ビスコとミロに立ちはだかるは,弟子たちの裏切りによって奪われた五つの臓腑を取り戻すために,そしてこの世界の神になるために宗教都市出雲に戻ってきた不死僧正ケルシンハ! 一巻以上に血と暴力があふれ,一巻以上に恐るべき濃度のアクションに乗せて,中国の伝奇小説のような物語と「相棒」たちの信頼が語られる.いいやつも悪いやつも,敵も味方も本当に魅力的に描かれてるのがいいんだよな.最近流行りの宗教パンクな面が強くなっている気がするけど,少年漫画的なところはいい意味で一巻から変わっていない.
神は己の内に宿り,それ以上に「神は絆の中に宿る」ということに暴力的なまでの説得力がある.ビスコとミロのわかりやすいイチャイチャっぷりもあわせて,最高のバディものだと思う.ぜひ一巻とあわせて読んでみてほしい.
「不死僧正ケルシンハは、これから……その女みたいなガキに、ギタギタに、ぶちのめされる」
ミロはビスコがいつもそうするように、眼前の敵に向けて、噛み付くように笑った。
「眠れなくしてやるよ。クソジジイ」