川岸殴魚 『編集長殺し3』 (ガガガ文庫)

編集長殺し (3) (ガガガ文庫)

編集長殺し (3) (ガガガ文庫)

「もちろんそうです。僕の同期のみんなも、ちゃんと責任感を持ってシリーズを終わらせ、責任感を持ったまま作家生命も終わらせていきました。おそらくまだ責任感を持ちっぱなしで待機中ですよ。そろそろ持ってる手が痺れてるんじゃないですかね」

原西さん、またさらっと嫌なことを……。

ギギギ文庫編集部に配属された新人小山内は稀に見るヤバいやつだった.夢と情熱を持った,ドジで頑張らない「憎める後輩」にして,「後輩界の奇行種」.川田は先輩として彼女を監視するよう編集長から指示される.本当にやばいのは新人と編集部,どっちだ.

ライトノベル業界のヤバい日常をするどく切り取るシリーズ三巻.デビューしたところでぜんぜん儲からないラノベ作家業,編集者による作家の承認欲求コントロール方法,なろう小説の発掘,ツイート炎上未遂.なんか今回ネタがやたらと黒くなかった? 締め切りを2週間も破ってしまった(あとがきより)焦燥感が影響しているのか,ネタのリアリティや黒さがギャグで隠しきれていないというか,裏から透けて見えるというか.Twitter炎上ネタは現実でのちょっと前の炎上案件を思い出して,笑いと同時に軽い胃痛が出た.なんだかんだと楽しかったけど,さすがの川岸先生といえども自分(の業界)のことになると冷静にはなりきれないということなんでしょうか.