鴨志田一 『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』 (電撃文庫)

青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない (電撃文庫)

青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない (電撃文庫)

きっと、楽しそうに、うれしそうに、「ほっぺたが落ちそうです! お兄ちゃん、かえでのほっぺたはまだついてますか?」とか言ってきたに違いない。

けれど、その光景を咲太が目にすることはもうない。その声を咲太が聞くという願いはもう叶わない。胸にちくりと走る痛みこそが、この二年間、『かえで』が確かに存在していた証だから……。

3学期.咲太の妹の花楓は,兄と同じ高校に進学したいと打ち明ける.少しずつ外へ出られるようになっていた花楓の大きな決意を,咲太たちは全力でサポートすることになる.

ひとつの区切りを越えて,新たな一歩を踏み出したシリーズ第八巻.思春期症候群もひと休み,話の中心は引きこもりだった妹の高校受験,彼女の大学受験,来年に迫った自分の進路.正直,ここだけだと非常に地味な巻.ここまであったいろいろなことが落ち着いて,やっと当たり前のことに悩むことができるようになったんだ,と思うと感慨深い.「いっぱい泣いて、たくさんの人たちに支えられ、やっと取り戻した“当たり前な日常”」という煽り文句を見るだけでちょっと泣ける.

これでようやく最新刊に追いついた.引き続き追いかけようと思います.